明日の君に会いに行く

絶え間なき離婚危機と戦うブログ

【読書感想】ブギーポップ・オーバードライブ 歪曲王/上遠野浩平

ブギーポップの原作を読み返すプロジェクト第4弾。

ブギーポップ・オーバードライブ 歪曲王 (電撃文庫)

ブギーポップ・オーバードライブ 歪曲王 (電撃文庫)

 

娘に続いて妻もインフルでダウンしてしまい、バタバタでなかなか更新できなかった。一方読むほうは順調で、もうホーリィ&ゴーストを読んでいる途中だ。正直この歪曲王はちょっと忘れかかっているのだけど、頑張って感想を書いてみる。

 

変わり者として知られた天才的実業家が残した謎の建築物「ムーン・テンプル」。主がこの世を去った今、使い道もなく取り壊されるのを待つばかりとなったこの巨大な建物で、最後に人稼ぎしようという思惑から一般公開されることになった。そこに集まった人々は、過去に残した自分の心の歪みと対峙することになる。その現象をもたらしたもの・歪曲王とは…?

 

起きていることは世界の危機でも、世界の隅っこでひっそりと始まるそして終わっていることが多いのがこのシリーズだが、珍しくこの作品では豪快な仕掛けが目立つ。謎の巨大建築物や怪獣など…といいつつも、結局は登場人物それぞれの心の中の問題に帰結するのがらしいといえばらしいところではある。

 

この作品、初見の時もそうだったし、再読してもあまり印象は変わらず、自分としてはあまりピンとこなかった。自分の精神世界に取り込まれて、トラウマ的なやつを二里超えないと現実に戻ってこれないという展開はお約束中のお約束なのだが、「それ」に巻き込まれる主だった人物が、亡くした夫への思いを心に残す人妻だったり、記憶にもない父親を無双する少年だったり、自分の心無い言葉を謝罪するができずに友人を失った女性だったり、シリーズの本筋と関係ない人物ばかりだったからだろうか。

 

新刻敬、羽原健太郎、田中志郎という主要人物も登場し、特に敬と志郎に関してはあのマンティコア事件の後日談とでもいうべきドラマがあるのだけど、その部分と上に書いたトラウマ克服パートとがちぐはぐに思えたせいかもしれない。壮大な舞台とミニマムなテーマ、主題にがっつりかかわるモブとそのわきでごちゃごちゃやってる主要キャラ、といった具合のアンバランスさが、自分のイメージする「良くできた小説」のイメージと微妙にずれていたということなんだろう。

 

それはそれとして、ラストでまたもやおいしいところをかっさらっていた敬はやはりすごい。このシリーズを再読する前は、凪以外の一般人キャラは基本的にごく普通の人間だったような気がしていたが、末間さんといい敬といい、正樹といい、肉体的にはともかくメンタル的には超人的な人物がわらわら出てくる。 シリーズを一気読みすると、こういう半レギュラーみたいなキャラクターのことが深く理解できるのが良いところだ。

 

過去の感想

【読書感想】ブギーポップは笑わない/上遠野浩平 - 明日の君に会いに行く

【読書感想】ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーター/上遠野浩平 - 明日の君に会いに行く

【読書感想】ブギーポップ・イン・ザ・ミラー パンドラ/上遠野浩平 - 明日の君に会いに行く