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【読書感想】ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーター/上遠野浩平

 

ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーターPart1

ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーターPart1

 
ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーターPart2

ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーターPart2

 

ブギーポップの原作を読み返すプロジェクト第2弾。

 

受賞作でもある「ブギーポップは笑わない」から続く、プロ作家としての初めての作品であり、シリーズでも珍しい上下分冊でもあり、統和機構やMPLSといったキーワードが初出して後のシリーズの方向性を決定付けた内容でもあり、作者的にはかなり気合の入った作品だと思われるVSイマジネーター。

 

しかし、個人的にはさほど印象に残っていなかったりする。原因としては、やはりイマジネーターというのが結局なんなのか、何がしたかったのかわかりにくいというのがあって、再読である今回も同じような感想が残った。まあもちろん、それは自分が思っただけだし、そもそもの話、はっきりしてなくてわかりにくいのはこのシリーズの特徴のでもあるので、それが悪いというわけでもないのはわかっている。

 

反面、ザ・悪の怪人という感じで登場したスプーキーEだったり、発表当時の1998年に流行っていたのであろう無口無表情系ヒロインの織機綺と霧間凪の弟でもある谷口正樹の関係性なんかはかなり鮮明に覚えているし、今回もかなりツボったので、根本的には自分はこういうわかりやすいものを求めているのかもしれない。じゃあこんなシリーズ読んでるなよって話だが…。

 

実際、スプーキーEみたいなわかりやすい悪役が出てくれるとほっとしたりする面はある。ドラッグを撒いて、電撃で精神を操作して人間を操り人形にしちゃったりして。あ、こいつは最後にはブギーポップがやっつけてくれるな、みたいな。実際にはイマジネーターに倒されたわけだけど。

 

イマジネーターとブギーポップの物語としてみるとぼんやりして捉えどころのない作品だけど、織機綺と谷口正樹の物語としてとらえると、それこそベッタベタにわかりやすくなる。作られた人間である織機が正樹のまっすぐな人間性や思いに感化され、次第に思いを寄せるようになっていくが、自分にはその資格がないと葛藤するくだりは素直に感情移入できた。最後には彼女の築いた心の防壁を純粋な感情で正面突破して見せた正樹もまさにヒーローだった。

 

そして、イマジネーターと直接対決しながらその恐怖にも負けず、被害者を助け、探偵さながらの調査能力で独力で決戦の地にたどり着いた末間さんも裏MVPといっていいんじゃないかな。今回1巻から再読してみて、なんとなく雷電的な解説役のイメージだった彼女がこんなに行動力と決断力に富み、物語の中心に自分から飛び込んでいく存在感があったんだな、ということに驚いている。

 

というわけで、感想を書いてみたら、肝心のイマジネーターについてほとんど触れていないということになってしまった。中心がふわっと形が見えにくく、外側にばかり目が行ってしまう。これもまたブギーポップシリーズならではの特徴といえるのかもしれない。

 

過去の感想

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