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「ブギーポップは笑わない」について

4日からブギーポップのアニメが始まるということで、その前にブギーポップシリーズに対する思いなどをちょっと書いてみる。

 

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ブギーポップシリーズ(と私)について

上遠野浩平さんの「ブギーポップは笑わない」は、電撃文庫から1998年に刊行された。それ以降のライトノベルに大きな影響を与えたとされている。この作品がなければ、あの作家さんもあの作品も生まれていなかったかもしれないわけだ。

そんなブギーポップシリーズに自分が出会ったのは、社会人2年目の冬、出張先の金沢で立ち寄った書店だった。なんとか仕事を終えて解放感に包まれた夜、しかし一人で酒を飲むような趣味も度胸もなく、宿泊先のビジネスホテルで菓子でもつまみながらゆっくり本でも読もうと思った時、目に飛び込んできたのがこの作品だった。

 

自分は本に関する直観には自信がある。表紙を見て、これだ!と思った。読んでみて、自分の感覚には間違いなかったことがわかった。ブギーポップ、エコーズ、マンティコアといった中二心をくすぐるワードセンス、事件を関係者それぞれの視点を切り替えながら描き出していく群像劇的な手法、根底はまっすぐに熱いのに、それを恥じるように乾いたトーンで紡がれる文章。俺のリアルは充実してないけど、大事な何かを手に入れたんだぜっていう気持ちを満足させてくれる青臭いあとがき。全てが自分のツボにはまった。

 

以降、シリーズをずっと追いかけていくことになった。巻を追うごとに、徐々にいわゆる能力バトル的な要素が強くなっていき、ついには完全に能力バトル面に特化した「ビートのディシプリン」という外伝シリーズが出たりして、しかも自分はそのシリーズが最高に好きだったりするんだが、それはまた別の話。ともあれ、ブギーポップシリーズが大好きだったのだ。

 

…だが、結婚してから読書にかけられる時間的金銭的リソースが激減し、このところ新作を読めていない。たぶん、オルフェの箱舟まで読んだと思うのだけど。

 

ブギーポップシリーズの世界観

自分なりの解釈なので違うかもしれないのだけど、たぶんこんな感じ。

 

この世界は、「人類が進化しかかっている」世界である。まだほとんどの人間は何も気づいていないが、時々、「ちょっと進化してしまった」人間が生まれてくる。作中でMPLSと称される彼ら、彼女らは、それぞれに異なる特別な能力を持っている。

 

一方、そんな人類の進化を監視している集団が存在する。それは統和機構と呼ばれる謎めいた組織で、様々な目的を遂行するために、人為的に特殊な能力を付加された合成人間が所属している。統和機構は、MPLSを発見すると監視し、場合によっては接触したり、合成人間を使って排除しようとする。

 

そして、どちらにも属さないのがブギーポップだ。一人の女子高校生の裏の人格として、「世界の敵」を感知した時だけ浮かび上がってくる不思議な存在。その「世界の敵」とは、MPLSや、あるいはそれに敵対する統和機構の合成人間だったりするのだが、ちょっとばかり特殊な能力を使って身の回りのささやかな何かをしているうちは何も起こらない。が、人類を支配したり、ある方向に捻じ曲げたり、一言でいうと、自然な進化の可能性を摘んだり制限したりするような行動をした時に、そいつはブギーポップに「世界の敵」と認定されてしまう。あとは…死あるのみ、だ。

 

と、そんな設定の話なのだが、面白いのは、大抵の場合、物語の視点はブギーポップやその他主要な人物でなく、事件にちょっとかかわってしまった普通の人間であることだ。ある日、奇妙な出来事に遭遇して、混乱したり悩んだり必死になったりする。でも自分の知らないところでいつの間にか事件は終わっている。あれはなんだったんだろう? とわからないままだが、その瞬間は彼/彼女の内面に確実に何かを残す。そんなエピソードを積み重ねて、読者だけには事件の全貌が見えるという構造だ。この物語の構造が、ブギーポップシリーズに独特の、登場人物への絶妙な距離感を生んでいる。言い換えると、こいつらは特別な運命のもとに生まれた主人公じゃなくて、たまたまなにがしかの出来事の一端に触れただけの、自分と同じように普通の人間なんだという気がするのだ。

 

最後に

こんな感じで、自分のブギーポップシリーズへの思いなどを書いてみた。もう明日に迫ったアニメを楽しみにしつつ、原作小説も再読&未読作品にも手を出していきたいと思っている。

 

ブギーポップは笑わない 新装版 上

ブギーポップは笑わない 新装版 上

 
ブギーポップは笑わない 新装版 下

ブギーポップは笑わない 新装版 下

 

新装版は上下巻なのか…。もともと300ページ無いのに、分冊? ものすごいペラペラなのかな? と思ったらコミック版だった。だよね‥