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【マンガ感想】兄の妻と旅行する話/朝賀庵

またまたジャンプ+読み切り作品の感想。
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内容は、まあタイトルどおりなんだけど、家族のドタキャンのせいで兄の妻と二人きりで旅行することになった弟が、兄へのコンプレックスと兄の妻への密かな恋心と向き合う話。ちょっとドキドキだけど、ジャンプ+なのでそんなストーリーにはならない。けど結構きわどい展開にはなる。

 

最初読んだときは、ほーん、まあ切ないけどいい話だな~という感じで終わったんだけど、ブックマークのコメントを見るうちに、なんかすごい考え抜かれた作品なんじゃないかと思うようになった。

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今時、男が片思いの女性に対して強引に迫るということは、現実ではもちろんアウトだがフィクションの世界でもいわゆるポリコレ的文脈で望ましくないと捉えらえる可能性がある。作者や編集側も全く無自覚ということはないだろう。実際そのように捉えているコメントもある。が、おおむね、マンガ表現としてはギリセーフ的に判定している人が多いように感じる。

 

単に安全に行きたいだけなら、キスまでさせなくともハグでよかったし、ましてや押し倒しシーンなど必要なかった。もっと言えば弟を幼い感じの、無害そうな外見や性格に設定するという方法もあった。しかし作中では、主人公はかなり長身でヒロインとの身長差20センチくらいはありそうだし、見た目に反して男を出してくる感じの性格で直接的な行動に出ている。

 

ここから自分が読み取ったのは、現代でも通用する作品にするために単に目に見える行動や外見をマイルドにするのではなく、違う部分で、受け入れられやすい表現を模索した結果なのではないかということだ。そして、その答えはヒロインの茜さんにあると思う。

 

茜さんは、不自然なくらい感情が描写されていない。だからちょっと怖いとか人間らしくないという印象になる。でもそれがこの作品には必要なことだったはずだ。もし茜さんが感情豊かで、弟の行動にいちいちリアクションしていたら全然違う雰囲気の作品になっていただろう。もし、弟の暴走に、引いたり怖がっている感じをだしてしまったら一気に犯罪感がでてしまうし、逆にまんざらでもない的な雰囲気だと、それはそれで弟の行動を肯定する誤ったメッセージになってしまう。彼女の感情が薄く、徹底的に弟の行動についてノーリアクションで受け流したからこそ、この作品の「ギリセーフ感」が出たんじゃないか。

 

とはいえそのままだと本当に感情のないヒロインになってしまうので、最後の最後に、「駄目ですよ」「誰にも言えませんね」のセリフを言わせることで、表面には出してなかったけど内面ではいろいろ思いがあったんだろうな、と想像する余地を残して終わるのも上手いと思う。コメントでも書かれていたけど、茜さんの内面を描くsideBを読んでみたい気持ちもある。でも、それをやってしまうとそれこそ台無しな作品なんだろうとも思う。

 

ともかく、最初はあっさり味かと思いきや、がっつり読み込めて面白かった。普段はこういうテイストのマンガは読まないけど、たまには良いな。