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【マンガ感想】周学旅行/羽鳥ひろし・井上ゴンズイ

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ジャンプ+で掲載されていた読み切り、「周学旅行」が面白かった。

タイムトラベルものを分類してみる - 怒られる男の日記

自分の書いた上の記事にあてはめれば、いわゆるリプレイ(リピート)時間SFで、恋愛もの。なぜか修学旅行の2日目をループするようになってしまった少年が主人公だ。

 

リプレイ物の場合、だいたい何らかの条件を達成しないと抜けられないパターンが多いのだけど、今回の場合は、その条件を主人公本人ではなく、別人(主人公があこがれるクラスメイトの国府宮さん)が設定しているというのが面白い。しかも、主人公がその条件を達成するためには、条件を設定した国府宮さんその人の協力が必要になってくる。お互いの感情がちょっとずれながらくるくると回りながら時間がループしているような、もどかしい感じがグッとくる。

 

読み切りの短いページの中にも、さりげない伏線やミスリードが張り巡らされているのにも感心した。国府宮さんが主人公のことを気にかけているそぶりを見せておいて、実は両想いか?とほのめかしつつ実はぼっちの主人公に罪悪感を抱いていただけだったとか(そしてこの動機がループ現象を生むきっかけになっていく)、「他の生徒もループ前の記憶をうっすら残している」ことを示すエピソードを描いておいて、もしかして国府宮さんも…と想像させたり、最後の最後、エンディング前にも、またループしたのかな、と見せかけるフェイクが入っていたし。

 

なにより、キャラクターが素直でかわいい。ヒロイン国府宮さんの優しくてちょっと天然で、それでいて卓球が強かったり謎Tシャツを着てたりするギャップもよかったし、主人公もぼっち設定でいながらそれほど重さを感じさせず、意外と前向きだったりする(やぶれかぶれともいう)のも読んでいて楽しかった。国府宮さんに卓球で勝つために、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」よろしく、ループの度に卓球場で練習してだんだんうまくなっていくのも面白い。

 

そこまでのちょっとゆるめのテンションから、一気に感情がほとばしって熱くなる最後の卓球のシーン、そしてこの先を感じさせる爽やかなエンディングの流れがとても気持ち良かった。この二人の続きを読んでみたいな、という気分にさせてもらえる、とてもよくできた読み切り作品だ。ラブコメや時間SFが好きな人はぜひ読んでみてほしい。