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【読書感想】終わる世界の片隅で、また君に恋をする/五十嵐雄策

いよいよ気温があがり、本格的な夏の気配がする今日この頃。夏と言えばジュブナイルSFが読みたい、というわけで、何冊か買ってきた。あたりがあるといいけど…。1冊目は、五十嵐雄策さんの「終わる世界の片隅で、また君に恋をする」だ。

 

終わる世界の片隅で、また君に恋をする (電撃文庫)
 

 五十嵐さんの作品を読むのは初めてだが、巻末を見ると、ラノベでかなり実績のあるベテランのようだ。代表作は、16巻出ている「乃木坂春香の秘密」シリーズなのかな。

 

本作の舞台は、忘却病という病が流行している世界だ。この病気に侵されたものは、関係の薄い人から順に忘れられてゆき、最後には恋人や家族からさえも忘れられてしまう。全ての人から忘れられたものは、姿を消す…。主人公の少年・アキは、保健室登校の桜良先輩とともに、忘却病患者のの最後の願いを叶えるという「忘却病相談部」の活動を行っている。大勢の忘却病患者に接するうち、知ることになった忘却病の真実とは?

 

4話構成で、1,2,4話は、忘却病に掛かった女子の願いをかなえる話だ。そして、アキが毎回モテるという特徴がある。積極的に動くタイプじゃなくて、いつもやれやれしんどいなあみたいに思っているタイプなのに、やたらモテるっていうのはラノベあるあるだよね。

 

3話だけちょっと毛色が違っていて、すでに秒客病で忘れてしまった自分の親友のことを思い出したいという、忘却病設定を逆手に取ったような話。個人的にはこれが一番面白かった。アキが依頼人の親友の足取りを追うんだけど、行く先々で記録が抹消あるいは改ざんされているという謎が立ちはだかる。一体何者が?という展開から、意外な結末。謎解き要素あり、依頼人の先輩の心情も丁寧に描かれていて、後味もさわやかで良かった。

 

ただ、全体としてみると、正直期待したほどではなかったな。大きいのが、忘却病についての種明かしが結局大したことなかったという…。実際のところ、せっかくの忘却病設定があまり意味をなしていない。死別したり引っ越したり、そういう普通の別れと何も変わるところがないのがもったいないと感じた。何しろ、自分はSF的なものを期待して読んでしまったので、その点では物足りない。

 

まあ、さくっと読めるし、ちょっと切ない恋愛小説っていう点ではいいんじゃないかな。